環境保全型農業 記事掲載

 平成23年1月20日発行の 「スパークツル」
 に掲載された石井 茂 氏の記事をご紹介します。


 「スパークツル」は 参議院議員 ツルネン マルテイ先生が
 出されている広報誌です。 №113 よりご紹介致します。
 (ツルネン先生より掲載の許可を頂戴しています)


 ツルネン マルテイ先生の政策担当秘書である石井 茂氏の
 記事をそのままご紹介致します。


  「 環境保全型農業直接支払 」 
 平成23年度予算が閣議決定されました。
今回は、その中の、「環境保全型農業直接支払」について考えたいと思います。
 まずは、その説明から、以下は農水省の23年度予算概算決定の資料からです。


対策のポイント
 地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動に取り組む
 農業者に対して直接支援します。
<背景/課題>
 環境保全型農業については、新たな食料・農業・農村基本計画に基づ 
 き、地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動を図って
 いくことが必要です。


政策目標
 地球温暖化防止等に効果の高い営農活動の環境保全:約49億円
<主な内容>
 農業者等が、化学肥料・化学合成農薬を原則5割以上低減した上で、
 地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動に取り組む
 場合、取組面積に応じた支援(国の支援額:4.000円/10a)を実施します。

 《具体的な営農活動》
  ・カバークロップの作付け
  ・リビングマルチ・草生栽培の実施
  ・冬期湛水管理
  ・有機農業の取組


 有機農業者にとって、環境保全型農業の一部としての取り扱いではあるが
(本当にここが一番問題ではあるが、今回触れないでおく)、
国から直接支払の対象となることは、有機農業を拡げていく上で大きな一歩であると考えます。


 今後は、この対象農家をどうするかが最大の焦点となります。
 漏れ聞くところによると、現在、農水省の方針は、対象農家を「エコファーマー」に限ると言うことのようですが、
これには、ちょっと納得がいきません。


 と、その前に「エコファーマー」について説明します。

 国では、環境にやさしい農業を進めるため、平成11年に「持続性の高い農業
生産方式の導入の促進に関する法律(持続農業法)」をつくりました。この法律
は、たい肥等による土づくりと化学肥料、化学合成農薬の使用の低減を一体的に
行う生産方式を導入しようとする農業者を「エコファーマー」として認定し、支援を行おうとするものです。


 今回、国が対象農家をエコファーマーにすると言うことは、有機農家もエコファーマーの認定を
受けないといけないということになります。
確かに、有機農家の中にはエコファーマーの認定を受けている農家もたくさんいらっしゃいます。
  ただ、エコファーマーの認定条件に、
 1)土づくり技術 
 2)化学肥料の使用低減技術
 3)化学合成農薬の使用低減技術
 の3つの技術を挙げる必要がありますが、例えば自然農法の中には、何も施術
しない農法もあり、エコファーマーの認定を受けることができないことが考え
られます。また、既にすべての技術を行っており、新たに導入する技術が必要
のない農家も、認証を受けられないという矛盾もあるようです。
 化学肥料、農薬を使わないのが有機農業です。その有機農業を実践している
農家が、エコファーマーの認定を取れないというのはおかしな話です。
 さらに私が納得いかないのは、概算決定では、直接支払の対象となる《具体的な営農活動》のなかに、
有機農業の取組』とあるにもかかわらず、実際にはその有機農業を実践していても
対象とならない農家が出てくると言うことです。


 農水省の立場に立ってみると、「じゃあ、有機農家をどう定義し、どう指定するのか?」
ということになるのでしょう(エコファーマーとしてしまえば、把握しやすく、事務手続きが楽?)。
ただ、有機農業推進法が平成18年に成立し、その中で有機農業が定義され、
それを推進しようと都道府県でも有機農業推進計画が立てられている中で、
有機農業実践者が今回の環境直接支払の対象とならないのは、どうも考えられません。
なんとか、有機農業推進法で定義している有機農業者には、
もれなく直接支払の対象となるようにしていただきたいと考えます。


 有機農業推進法が成立して4年、平成23年度予算においてはじめて有機農業者に対する直接支払
が導入されます。来年度は、国の「有機農業推進基本方針」の見直しの年(5年ごと見直し)になります。
秋頃までに、有機農業者を始め有機農業関係団体、地方公共団体等から意見を集約し、
審議会での協議を経て、来年度末までには基本方針の見直しが行われるものと考えます。
私も今まで同様、それ以上に意見を発信していきたいと思います。

           平成22年12月27日
            政策担当秘書  石井 茂